東京の中古マンション価格高騰:年収1000万円で買えるエリアと対策の詳細解説

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東京都内のマンション市場は、近年、価格の高騰が続いています。特に23区内では、新築マンションの価格が5年間で約52%、中古マンションが65%上昇し、年収1000万円以下の世帯にとって新築購入はほぼ不可能な状況です。

この記事では、2025年4月12日の日経速報ニュースに基づき、年収別の購入可能エリアを詳しく解説します。

東京のマンション価格の急上昇

新築マンション:5年間で52%値上がり

不動産経済研究所のデータによると、2024年の東京都区部の新築マンション価格は1平方メートルあたり平均171万円。標準的な70平方メートルの物件では、平均価格が1億1970万円に達し、5年前と比べて52%上昇しています。

エリア価格(70㎡換算)
港区2億7820万円
江戸川区7861万円
平均1億1970万円

この価格高騰は、資材価格や人件費の上昇に加え、海外からの投資マネーの流入が背景にあります。特に港区や渋谷区では「億ション」が一般的となり、一般的な収入層にとって手の届かない水準です。

中古マンション:5年間で65%値上がり

中古マンションも新築に連動して価格が上昇しています。東京カンテイによると、築10~20年の中古マンション(70平方メートル換算)の平均希望売り出し価格は9860万円で、5年間で65%上昇しました。

エリア価格(70㎡換算)
千代田区1億9217万円
足立区4434万円
平均9860万円

中古物件は新築より手頃ですが、都心部では依然として高額です。

年収別でみる購入可能エリア

以下の条件で、年収別に購入可能なエリアをシミュレーションしました:

  • 住宅ローン:35年固定金利(金利2.25%、大手金融機関の平均)
  • 返済負担率:年収の25%
  • 頭金:500万円

新築マンションの場合

新築マンションは、年収1000万円以下では23区内での購入がほぼ不可能です。

年収購入可能エリア
1000万円以下なし
1250万円練馬区、葛飾区、江戸川区
1500万円墨田区、荒川区、板橋区、足立区
2000万円台東区、江東区、目黒区、大田区、世田谷区、杉並区、北区
2000万円以上千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、品川区、渋谷区、中野区、豊島区

中古マンションの場合

中古マンションは選択肢が広がります。

年収購入可能エリア
500万円以下なし
750万円足立区、江戸川区
1000万円北区、板橋区、練馬区、葛飾区
1250万円墨田区、大田区、杉並区、荒川区
1500万円台東区、世田谷区、中野区
2000万円千代中央区、新宿区、文京区、江東区、品川区
2000万円以上千代田区、港区、目黒区、渋谷区、豊島区

年収750万円から中古マンションの購入が現実的になり、年収1000万円では墨田区や大田区などが候補に挙がります。ただし、都心部の人気エリアは年収1500万円以上が必要です。

5年前との比較

5年前(2019年頃)は、住宅ローンの金利が1.2%程度と低く、マンション価格も現在より抑えられていました。年収1000万円で新築マンションが12区(中央区、墨田区、江東区、大田区、港区、荒川区、板橋区、練馬区、足立区など)で購入可能でしたが、現在はゼロに。中古マンションも選択肢が大幅に減っています。

この変化は、価格高騰に加え、金利が2.25%に上昇したことが影響しています。返済負担が増えたことで、同じ年収でも購入可能なエリアが狭まっています。

マンション購入時のポイントと対策

ライフルホームズ総研の中山登志朗チーフアナリストのアドバイスを基に、購入時のポイントと対策を以下にまとめます。

購入前の準備

  • 頭金を多く用意
    頭金を増やすことで借入額を抑え、月々の返済負担を軽減できます。試算では頭金500万円を想定しましたが、1000万円以上用意できれば選択肢が広がります。
  • 返済額のシミュレーション
    住宅ローンの返済額だけでなく、修繕積立金や管理費も含めた総額を計算し、無理のない計画を立てましょう。年収の25%を超えない範囲が目安です。

住宅ローンの選び方

  • 元金均等返済を選択
    元利均等返済(返済額が一定)より元金均等返済(元本の返済額が一定)のほうが総返済額を抑えられます。初期の返済額は増えますが、長期的には金利負担が軽減されます。
  • 繰り上げ返済を活用
    余裕資金がある場合、繰り上げ返済で元本を減らすのが効果的です。元本が減れば金利負担も軽減され、総返済額が大幅に下がります。

その他の注意点

  • エリア選び:予算内で購入可能なエリア(例:葛飾区、江戸川区、北区)を優先しつつ、将来の資産価値も考慮しましょう。もちろんアクセスのよい23区外に幅を広げること(東京都内や川崎区など)も考えられます。
  • タイミング:中山氏は「価格が下がる要素が見当たらない」と指摘。値上がり傾向が続く中、早めの購入が得策かもしれません。
  • 中古物件の検討:新築にこだわらず、中古マンションを選ぶことで予算を抑えられます。築10~20年の物件は供給が多く、価格も比較的安定しています。

今後の見通しと結論

専門家によると、マンション価格は今後も上昇する可能性が高く、下落要因は見当たりません。年収1000万円以下の世帯にとって、新築マンションは手の届かない存在となりつつありますが、中古マンションなら年収750万円から購入が可能です。年収1000万円では、北区や板橋区、練馬区、葛飾区などが現実的な選択肢となります。

購入を成功させるには、頭金を多く用意し、元金均等返済や繰り上げ返済を活用して総返済額を抑えることが重要です。エリア選びでは、予算と将来の資産価値をバランスよく考慮しましょう。東京23区内に限定せずに、東京都下や神奈川県川崎市など、近隣市町村も視野に入ってきます。

価格高騰が続く中、タイミングを逃さず、慎重に購入プランを立てることが求められます。

【記事執筆・監修】
マンション管理士・1級ファイナンシャル・プランニング技能士 古市 守
yokohama-mankan

マンション管理全般に精通し、管理規約変更、管理会社変更、管理計画認定制度の事前審査、修繕積立金の見直し、マンション関連コラムの執筆など、管理組合のアドバイザーとして幅広く活動。
また、企業経営、とりわけ財務・経理分野にも精通し、上場企業やベンチャー企業でCFOや財務経理部長を歴任。経営・財務視点を活かし、マンション管理の実践的なサポートを提供している。

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