不動産に関して、気になる2つの動画を文字でまとめてみました。1つ目はこちらの動画です。
【トランプ関税は庶民にとってはポジティブ】今のJ-REITは暴落状態/儲かるセクションは仲介業/調整にかかる時間は5年/新築価格は高騰しない/賃貸への影響/余ったキャッシュの行方
トランプ政権の関税政策が日本の不動産市場にどのような影響を及ぼすのか、PIVOTの動画での議論を基に、そのインパクトを整理する。
現在のJ-REIT(日本版不動産投資信託)の暴落状態、仲介業の追い風、新築価格の動向、賃貸市場への影響、そして余剰キャッシュの行方について、専門家の見解を交えながら解説する。
この記事では、庶民にとってポジティブな側面も浮き彫りにし、不動産投資や市場動向に関心のある読者に具体的な展望を提供します。
トランプ関税と庶民への影響
トランプ政権の関税引き上げは、一見すると物価上昇や経済停滞を招くように思えるが、意外にも日本の庶民にはポジティブな影響が期待できる。
動画では、関税による資材費の動向が鍵を握ると指摘された。日本は建築資材の多くを輸入に依存しているが、関税強化により米国向け輸出が減少し、資材の国際的な奪い合いが緩和される可能性がある。これにより、資材価格や輸送コストが低下し、結果的に建築費が抑えられるかもしれない。さらに、円高傾向が加われば、輸入コストはさらに下がり、一般消費者にとって住宅購入や賃貸の負担が軽減されるシナリオが考えられる。
興味深いのは、この政策が「庶民目線」を重視するトランプ氏の姿勢と一致している点だ。米国ではガソリン価格の低下が庶民の生活を直接的に楽にし、同様に日本でもエネルギーコストや輸入食品価格の低下が家計に恩恵をもたらす可能性がある。
動画では「日本人の中にもトランプ万歳という人が出てくるかもしれない」と冗談交じりに語られたが、経済全体が冷え込む中でも、こうしたコスト低下は庶民にとって明るい材料となる。
J-REITの現状:暴落状態とその背景
J-REIT市場は現在、専門家の言葉を借りれば「暴落状態」にある。過去20年のチャートを見ると、リーマンショック時の急落から最高値を更新できず、横ばいが続いている。特に直近1年は下落傾向が顕著で、平均利回りは約5%と高い水準にあるにもかかわらず、買い手が少ない状況だ。なぜJ-REITは魅力的な利回りにもかかわらず低迷しているのか。
その理由の一つは、市場規模の小ささにある。J-REITの時価総額は約15兆円で、57銘柄に分散しており、1銘柄あたりの規模が小さい。これに対し、米国のREIT市場は100兆円を超える規模を持ち、機関投資家の参入が活発だ。
一方、J-REITは投資家の約95%が個人で、金額ベースでも4割が地方銀行や信用金庫といった中小金融機関に支えられている。「素人マーケット」とも揶揄されるこの構造では、プロの機関投資家が参入しづらく、流動性が低いため価格が上がりにくい。
さらに、関税政策による金融市場の不透明感がJ-REITに追い打ちをかける。オフィスや住宅の賃料伸び悩み、テナント需要の低下が予想される中、J-REITのさらなる下落リスクは否定できない。
ただし、現在の高利回りは、短期的な「一時避難先」として個人投資家にとって魅力的だ。特に、ホテル関連のポートフォリオを持つ銘柄は、観光需要の回復とともに配当が伸びる可能性があり、銘柄選びに成功すれば利益を得るチャンスもある。
不動産市場の調整期間とブランド物件の強さ
不動産市場全体が下落局面に入る中、調整期間はどの程度かかるのか。動画では、通常の調整には約5年、リーマンショックのような大きな危機では10年程度かかるとの見解が示された。
例えば、リーマンショック(2008年)後の回復は、安倍ノミクスが始まった2013年から本格化し、2017~18年頃に不動産価格が再び上昇した。この歴史を踏まえると、現在の下落局面も数年単位の我慢が必要かもしれない。
ただし、すべての物件が同じように影響を受けるわけではない。「ブランドリッチ」と呼ばれる、青山や麻布といった高級エリアの物件は下落幅が限定的で、回復も早い。これに対し、湾岸エリアなど投資需要に支えられた物件は、価格変動が大きくなる可能性がある。
キャッシュリッチな投資家にとって、こうした下落局面はブランド物件を割安で購入するチャンスだ。一方、借金がない限り、こうした物件を保有する人は慌てて売却する必要はない。専門家は「老後売りなど考えず、じっくり保有を」とアドバイスする。
新築価格は高騰しない?
関税引き上げにより資材費が上昇し、新築価格がさらに高騰するとの懸念があるが、動画では逆の予測が提示された。前述の通り、関税強化は資材の供給過多を招き、価格を下げる可能性がある。さらに、エネルギーコストの低下や円高傾向が加われば、建設費はむしろ抑制される。この点は、一般消費者にとって朗報だ。
新築マンションや戸建ての価格が落ち着けば、住宅購入のハードルが下がり、特に若い世代や初めての購入者にとって有利な市場環境が整うかもしれない。
賃貸市場への影響
賃貸市場については、関税政策が日本経済全体に与える影響がカギを握る。近年、インフレ期待から賃料上昇が予測されていたが、自動車産業を中心とした輸出減退が経済を冷やせば、賃料の上昇は抑えられる。
日本の特徴的な社宅制度も影響を受ける可能性がある。大企業は優秀な人材確保のため社宅の福利厚生を強化してきたが、経済の先行き不透明感からこれを見直す動きが出るかもしれない。
結果として、賃料が上がりにくくなることは、借り手である庶民にとってプラスだ。投資家にとっては賃料収入の伸び悩みが懸念材料だが、庶民目線では生活コストの安定につながる。
「物(物件価格)も下がり、賃料も下がる」と動画で指摘されたように、不動産投資の魅力が一時的に低下する一方で、居住者には有利な状況が生まれる。
儲かるセクション:仲介業の追い風
不動産市場が荒れる中で、明確な「勝ち組」が存在する。それが仲介業だ。下落局面では、売却を急ぐオーナーが増え、仲介業者は売り注文の増加で手数料収入を伸ばす。「不幸の商売」と揶揄されることもあるが、市場が不安定な時期ほど、仲介業は活況を呈する。
一方で、買い手側に立つ仲介業者は「まだ下がる」と慎重な姿勢を見せる投資家に対応する必要があり、売り手側に比べると難しい局面に立たされる。この非対称性が、仲介業の儲かる構造を際立たせる。
余ったキャッシュの行方
市場の不透明感から、投資家はキャッシュポジションを高めている。動画では、この余剰キャッシュがすぐに不動産やJ-REITに流入する可能性は低いとされた。J-REITの流動性の低さや、機関投資家の慎重な姿勢が背景にある。
一方で、個人投資家にとっては、高利回りのJ-REITに短期的に資金を振り向ける選択肢が現実的だ。ただし、専門家は「慌てて投資せず、半年から1年後の市場を見据える」ことを推奨する。バフェット流の「待つ姿勢」が賢明とされ、キャッシュを安全資産に置くか、金などの代替資産に一部を振り向ける動きが予想される。
個人投資家へのアドバイス
不況に備える個人投資家にとって、専門家は「焦らないこと」を強調する。リーマンショックを経験した視点から、「個人の努力ではどうにもならない局面では、無駄な行動が傷を深める」と警告。市場を毎日チェックするのではなく、半年から1年後の展望を描き、ポートフォリオを見直す時間と捉えるべきだ。
下落局面では、どの物件が持ちこたえ、どの物件が弱かったかが明確になる。この「成績表」を基に、リスクの高い資産を手放すか、割安な優良物件を狙う準備を進めるのが賢明だ。
また、プロの投資家でない人は本業に集中し、市場の騒音から距離を置くことも有効だ。「画面を見ない」と決めた投資家の姿勢が、精神的な安定と冷静な判断につながる。不動産投資は長期戦であり、短期的な下落に一喜一憂せず、次の上昇局面を見据えた戦略が求められる。
おわりに
トランプ関税は日本の不動産市場に複雑な影響を及ぼす。J-REITの低迷や仲介業の活況、新築価格の安定、賃貸市場の借り手優位など、市場は多面的な動きを見せる。庶民にとっては、資材費や賃料の低下が生活を楽にする可能性があり、キャッシュリッチな投資家には割安物件の購入チャンスが訪れる。
一方で、調整には5~10年を要する可能性があり、焦らず長期視点で市場を見極める姿勢が重要だ。不動産市場の変動を冷静に読み解き、庶民も投資家もそれぞれの立場で機会を活かしてほしい。
1つ目の動画はこのような感じでの紹介でした。
2つ目の動画
もこの記事で紹介しますので、対比しながらご確認ください。
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