【規約解説】マンション標準管理規約第9条『共有』を解説!区分所有者が知るべきポイント

管理規約解説

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マンションの管理規約には、区分所有者の権利と義務が定められています。

中でも第9条「共有」に関する規定は、マンション全体の管理や資産価値に大きな影響を与えます。

本記事では、マンション標準管理規約第9条「共有」について解説し、管理組合や区分所有者が知っておくべきポイントを、マンション管理士である筆者が詳しくご紹介します。

【規約解説】マンション標準管理規約第9条『共有』を解説!区分所有者が知るべきポイント

今回紹介する内容は、以下の通りです。

・区分所有者は何を共有しているのか?マンション標準管理規約第9条「共有」の概要
・管理組合と区分所有者が注意すべき「共有」のポイント

まず、最初の章では標準管理規約第9条条文から「共有」についてそのままの文面を紹介します。

また、この条文についての補足事項や、注意しておくべき事項について国土交通省より提示されていません。

したがって、第9条「共有」の条文を踏まえて、管理組合や区分所有者が気を付けておいた方が良い点を、マンション管理士である筆者独自の視点から具体的に紹介します。

それでは、次章より当該条文について紹介します。

マンション標準管理規約第9条『共有』とは?区分所有者が共有する範囲とポイント

まず、はじめにマンション標準管理規約第9条「共有」の条文を紹介します。

この条文は1項のみからなります。

(共有)
第9条 対象物件のうち敷地及び共用部分等は、区分所有者の共有とする。

シンプルな条文ですが、この内容について筆者の視点で解説します。

マンション標準管理規約第9条の解説

マンション標準管理規約第9条では、マンションの「敷地」および「共用部分」はすべての区分所有者の共有財産であることが定められています。

これは、マンションという建物が、各区分所有者の専有部分(住戸)だけでなく、建物全体を共同で維持・管理していく必要があるためです。

区分所有者が共有するものとは?マンションの共用部分とその範囲

敷地及び共有部分等として、共有の対象となるものは、以下の通りです。

敷地:マンションが建つ土地全体
共用部分:エントランス、廊下、エレベーター、階段、外壁、屋根、給排水設備、窓ガラス・窓サッシなど、専有部分以外の部分

専有部分にある、窓ガラスや窓サッシ、玄関ドア、さらには区分所有者の専用使用となるバルコニーや専用庭も共用部分です。

これらがすべて区分所有者の財産となり、共有の対象となります。

マンション標準管理規約第9条の重要ポイント3選

当該条項のポイントは以下の通りです。

・個人の所有権ではなく、全員の共有財産である
・共用部分の管理や修繕は、管理組合が主体となって行う
・共有部分の利用ルールは、管理規約や総会の決議で定めることができる

この規定により、管理組合は適切な維持管理を行い、共有財産としての資産価値を守ることが求められます。

区分所有者も、自身の専有部分だけでなく、持ち物ともいえる共有部分の管理や維持に関心を持つことが重要です。

マンションの共有部分でトラブルを防ぐ!管理組合と区分所有者が注意すべきポイント

第9条の条文や解説からみて、管理組合や区分所有者が注意しておくべきポイントを紹介します。

マンションの共有部分=自分の資産!区分所有者が知るべき意識改革

多くの区分所有者は、共用部分を「他人と一緒に使うもの」と考えがちですが、実際には各区分所有者が持ち分を持つ「自分の財産」でもあります。

また、

「機械式駐車場は使っていないので、修繕費を出したくない」

このような意見も良く聞きます。

しかしながら、共有部分であると定めた場合の駐車場を含めて、エントランスや廊下、屋上、外壁といった共用部分は、すべての区分所有者の資産の一部として法的に共有されており、管理費や修繕積立金もその資産を維持するためのコストです。

「管理組合や役員に任せておけばいい」と考えるのではなく、自分の資産を適切に維持する意識が重要になります。

共有部分の管理がマンションの資産価値を左右する理由

マンションの資産価値は、個々の専有部分(住戸)だけでなく、共用部分の管理状態やデザイン、設備の充実度に大きく左右されます

たとえば、エントランスが綺麗で管理が行き届いているマンションは第一印象が良く、資産価値が維持されやすいです。

一方で、共用部分が老朽化し、清掃や修繕が行き届いていないマンションは、築年数以上に価値が低下することもあります。

つまり、共用部分の適切な管理こそが、マンション全体の価値を生み出す要素なのです。

マンション全体の価値が上がれば、住戸価格も上がる?

マンション全体の価値が上がれば、それに連動して各住戸の市場価値も向上します。

逆に、共用部分の管理が不十分なマンションでは、「将来的な修繕リスク」や「管理組合の運営不安」が懸念され、購入希望者が減り、価格が下がる可能性があります。

「自分の部屋だけ綺麗にしていればいい」という考え方では、資産価値を守れないのです。

区分所有者は、共用部分の管理や長期修繕計画に関心を持ち、積極的に管理組合の活動に参加することが重要です。

窓ガラス・玄関ドアは「専有部分」ではない

意外と知られていないのが、窓ガラスや窓サッシ、玄関ドアが区分所有者の所有物ではないという点です。

これらは共用部分にあたり、勝手に交換・改修することができません(管理規約で例外が定められる場合もあります)。

例えば、「断熱性の高い窓に交換したい」「玄関ドアをおしゃれなものに変えたい」と思っても、個人の判断では変更できず、管理組合として変更する必要があります。

この点を理解せずに勝手に工事をしてしまうと、規約違反となり、トラブルの原因になりかねません。

マンションの敷地や共用部分は誰のもの?区分所有者の財産としての役割

今回は、マンション標準管理規約第9条「共有」について解説しました。

区分所有者が所有するのは専有部分だけではなく、敷地や共用部分も全員の共有財産です。

これらは管理組合が維持・管理するものですが、管理組合=区分所有者全員である以上、実質的には各区分所有者の財産でもあります。

普段の生活の中で意識することは少ないかもしれませんが、共用部分も自分たちの資産であるという認識を持つことが重要です。

その意識が、マンション全体の適切な管理につながり、結果として資産価値の向上にも貢献すると考えられます。

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