2024年全国新築分譲マンション市場動向:供給減少と価格上昇の傾向

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不動産経済研究所が発表した「2024年全国新築分譲マンション市場動向」によると、全国の発売戸数は前年比8.6%減の5万9,467戸となり、4年ぶりに6万戸を下回りました。一方で、マンションの平均価格は6,082万円、m2単価は94.3万円と、いずれも上昇が続いています。本記事では、地域別の供給動向や価格推移、2025年の市場予測について詳しく解説します。

細かなリリース内容は、こちらのPDFに記載があるようですので、参考までに紹介します。

2024年のマンション発売戸数の動向

全国的な供給減少

2024年の全国発売戸数は5万9,467戸と、前年(6万5,062戸)比で8.6%減少しました。三大都市圏を含むほとんどの地域で供給が減少する一方、東北と四国のみが増加しました。

地域別の供給状況

  • 首都圏(2万3,003戸):前年比14.4%減で3年連続の減少。東京都の落ち込みが顕著(前年比27.2%減)。
  • 近畿圏(1万5,137戸):前年比1.6%減で横ばい傾向。兵庫県のみ39.5%増。
  • 東海・中京圏(6,080戸):前年比1.0%減と小幅減少。
  • 東北地区(1,952戸):前年比17.9%増で、2年ぶりに増加。
  • 四国地区(797戸):前年比96.8%増と大幅増加。
  • 九州・沖縄地区(7,103戸):前年比12.4%減と供給減少が続く。

都市別の発売戸数

  • 札幌市:1,085戸(前年比29.7%減)
  • 仙台市:987戸(前年比9.7%増)
  • 名古屋市:4,476戸(前年比0.1%増)
  • 広島市:807戸(前年比46.5%減)
  • 福岡市:2,564戸(前年比13.0%減)

価格動向:平均価格・㎡単価ともに上昇

全国のマンション価格は、

  • 平均価格:6,082万円(前年比2.9%増)
  • ㎡単価:94.3万円(前年比2.5%増)

と、それぞれ8年連続、12年連続で上昇しました。

地域別の価格動向

  • 首都圏:平均価格7,820万円(前年比3.5%減)、m2単価117.7万円(前年比4.0%減)
  • 近畿圏:平均価格5,357万円(前年比14.8%増)、m2単価90.7万円(前年比14.8%増)

首都圏では東京23区のシェア低下(前年比8.3ポイント減)が価格下落に影響を与えました。一方、近畿圏は大阪市内での高額物件供給が価格上昇を後押ししました。

主要デベロッパーの販売実績

2024年の売主別ランキングでは、

  1. 野村不動産(3,584戸)
  2. プレサンスコーポレーション(3,230戸)
  3. 三井不動産レジデンシャル(3,089戸)

がトップ3となりました。野村不動産は2022年以来2年ぶりに首位へ返り咲きました。

以下、販売実績データ詳細です。各データ、筆者の方で個別にまとめています。

2024年度

順位 事業主 2024年_首都圏 2024年_近畿 2024年_その他 2024年_定借 2024年_全国
1 野村不動産 2,273 518 717 76 3,584
2 プレサンスコーポレーション 16 2,012 1,202 0 3,230
3 三井不動産レジデンシャル 2,163 450 379 97 3,089
4 住友不動産 1,818 366 374 60 2,618
5 あなぶき興産 178 194 1,536 0 1,908
6 三菱地所レジデンス 1,094 301 354 21 1,770
7 タカラレーベン 454 71 1,144 0 1,669
8 オープンハウス・ディベロップメント 790 0 799 0 1,589
9 阪急阪神不動産 233 560 48 632 1,473
10 エスリード 0 834 391 0 1,225
11 日本エスコン 144 263 725 0 1,132
12 大和ハウス工業 542 53 532 0 1,127
13 フージャースコーポレーション 373 107 615 0 1,095
14 日鉄興和不動産 617 231 139 93 1,080
15 日商エステム 0 385 650 0 1,035
16 近鉄不動産 285 532 121 66 1,004
17 東京建物 633 143 18 197 991
18 関電不動産開発 169 436 158 161 924
19 エヌ・ティ・ティ都市開発 405 360 157 0 922
20 東急不動産 556 268 40 24 888
  合計 12,743 8084 10099 1427 32,353

2023年度

順位 2023年_事業主 2023年_全国
1 三井不動産レジデンシャル 3,423
2 プレサンスコーポレーション 3,390
3 野村不動産 3,061
4 住友不動産 2,859
5 三菱地所レジデンス 2,093
6 タカラレーベン 1,982
7 あなぶき興産 1,773
8 オープンハウス・ディベロップメント 1,647
9 エスリード 1,607
10 阪急阪神不動産 1,590
11 大和ハウス工業 1,432
12 日鉄興和不動産 1,406
13 関電不動産開発 1,368
14 東京建物 1,178
15 日本エスコン 1,109
16 日商エステム 1,089
17 大和地所レジデンス 1068
18 マリモ 996
19 東急不動産 984
20 新日本建設 902
  合計 34,957

2022年度

順位 2022年_事業主 2022年_全国
1 野村不動産 4,240
2 プレサンスコーポレーション 3,760
3 三井不動産レジデンシャル 3,420
4 住友不動産 3,109
5 エスリード 2,214
6 三菱地所レジデンス 2,153
7 タカラレーベン 2,134
8 大和ハウス工業 2,022
9 オープンハウス・ディベロップメント 1,870
10 日鉄興和不動産 1,850
11 あなぶき興産 1,688
12 関電不動産開発 1,489
13 阪急阪神不動産 1,462
14 新日本建設 1,435
15 東急不動産 1,410
16 東京建物 1,316
17 日本エスコン 1,142
18 近鉄不動産 1,139
19 フージャースコーポレーション 1,047
20 名鉄都市開発 1,042
  合計 39,942

2025年の市場予測

2025年の全国発売戸数は 6.2万戸(前年比4.3%増) の見込み。

  • 首都圏:2.6万戸(前年比13.0%増)
  • 近畿圏:1.55万戸(前年比2.4%増)
  • 東海・中京圏:0.6万戸(前年比1.3%減)

供給はやや回復する見込みですが、建設コストの高騰や用地確保の難しさから、大幅な増加は期待しづらい状況のようです。

まとめ

2024年の新築分譲マンション市場は、供給戸数の減少が続く一方で、価格は上昇を続けています。特に 首都圏では供給減少による価格下落、近畿圏では高額物件供給による価格上昇 という対照的な動きが見られました。2025年は供給回復が見込まれますが、マンション価格の高止まりが続く可能性が高く、市場動向に注視が必要です。

また、詳細なデータ分析によると、2024年は特に東京23区での供給が30.5%減少し、首都圏全体のシェアも低下しました。これは近畿圏やその他の地方都市での価格上昇とは対照的な動きです。今後の動向としては、建設コストや経済状況の影響を受けながらも、需要の高いエリアでは引き続き価格上昇が続く可能性があるため、慎重な市場分析が求められます。

【記事執筆・監修】
マンション管理士・1級ファイナンシャル・プランニング技能士 古市 守
yokohama-mankan

マンション管理全般に精通し、管理規約変更、管理会社変更、管理計画認定制度の事前審査、修繕積立金の見直し、マンション関連コラムの執筆など幅広く活動。
また、企業経営、とりわけ財務・経理分野にも精通し、上場企業やベンチャー企業でCFOや管理部長を歴任。経営視点を活かし、マンション管理の実践的なサポートを提供している。

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