マンションを購入するとき、多くの人が最初に確認するのは物件価格と住宅ローンの返済額です。「毎月いくら返済するのか」「金利が上がっても返済を続けられるのか」は、もちろん重要な確認事項です。しかし、分譲マンションの住居費は住宅ローンだけではありません。
株式会社東京カンテイは2026年7月1日、「新築・中古マンションのランニング・コストに関する調査レポート(2025年)」を公表しました。公式リリースによると、2025年の首都圏新築マンションの管理費は70㎡換算で月額21,691円となり、前年比9.2%上昇しました。また、中古マンションでは、首都圏の築10年物件における管理費と修繕積立金の合計が月額30,450円となっています。
この調査から見えてくるのは、マンション価格の高騰だけではありません。これからマンションを買う人も、すでに所有している人も、住宅ローンとは別に続く「マンションのランニングコスト」を住居費全体の中で考える必要がある時代になったといえるでしょう。
※東京カンテイでは調査データの無断転載・利用を禁止しています。本記事では、公式リリースで公表されている主要結果を紹介したうえで、横浜マンション管理・FP研究室独自の視点から考察します。詳細な数値や地域別・築年別データは、東京カンテイの公式レポートおよび転載が認められている公式動画をご確認ください。
▼今回のコラムの全体像です(画像クリックで拡大します)

東京カンテイが新築・中古マンションのランニングコストを調査
今回公表されたのは、2025年の新築マンションと中古マンションにおける管理費・修繕積立金などの調査です。中古マンションについては、2025年に中古市場で流通した物件を対象に、築年数による負担の違いも整理されています。
ここで注意したいのは、ある一つのマンションを新築時から築10年、築20年まで追跡した調査ではない点です。2025年に供給された新築マンションと、2025年に中古市場で流通した各築年数のマンションをそれぞれ集計しています。そのため、「新築時にこの金額だったマンションが10年後には必ずこの金額になる」と読むものではありません。
一方で、現在のマンション市場において、新築時にどの程度のランニングコストが設定され、中古市場ではどのような負担になっているのかを見るうえでは、非常に興味深い調査です。
新築マンションの管理費が月2万円を超えた
今回、最も目を引くのは新築マンションの管理費です。2025年の首都圏新築マンションでは、70㎡換算で月額21,691円となり、前年から9.2%上昇しました。
マンション価格の上昇は分かりやすいものです。販売価格が上がれば、住宅情報サイトや広告を見ればすぐに分かります。しかし、管理費の上昇は見落とされがちです。物件価格が数百万円違えば強く意識しても、管理費が毎月数千円高いという違いは、購入時にはそれほど大きく感じない人もいるでしょう。
しかし、管理費は原則としてマンションを所有している限り続きます。月額2万円なら年間24万円です。しかも、住宅ローンを完済しても終わりません。管理員業務、清掃、設備保守、共用部分の電気代、保険料など、マンションを維持する費用はその後も必要です。
ただし、管理費が上がること自体が悪いとは限りません。人件費や各種保守費用が上昇する一方で、管理費だけを据え置き続ければ、管理員の勤務時間短縮や清掃回数の削減など、管理仕様を見直さざるを得ない場合があります。
重要なのは「高いか安いか」だけではなく、その金額でどのような管理サービスが提供され、管理組合の収支が成り立っているかです。
新築マンションほど「最初の金額」だけで判断しない
新築マンションを購入するとき、購入者は提示された管理費と修繕積立金を前提として資金計画を立てます。しかし、その金額が将来も続くとは限りません。
特に修繕積立金は、将来の建物修繕に備えるためのお金です。マンションが新しいうちは大規模な修繕工事が少なくても、築年数が進めば外壁、防水、給排水設備、エレベーターなどの修繕や更新が必要になります。
新築時に確認すべきなのは現在の修繕積立金だけではありません。長期修繕計画でどのような工事が予定され、修繕積立金を将来どの程度引き上げる計画なのかを見る必要があります。
修繕積立金の値上がりは、すでに中古市場でも確認されています。当研究室では、レインズの調査を基に、首都圏中古マンションの修繕積立金が前年から5.6%上昇した実態も紹介しています。
新築時の負担を低く見せても、将来必要になる修繕費が消えるわけではありません。必要な資金をいつ、どのように集めるのかを見ることが重要です。
東京カンテイ公式動画|新築マンションのランニングコスト
東京カンテイは、今回の調査について公式動画を公開しています。公式リリースでは動画のみ転載可能とされており、動画内データの改変は禁止されています。
中古マンションは築10年で月3万円を超える
中古マンションでは、首都圏の築10年物件における管理費と修繕積立金の合計が月額30,450円と公表されています。年間では約36万円です。住宅ローン返済とは別に、毎年これだけの費用を負担することになります。
中古マンション購入では「新築より価格が安い」「住宅ローンの借入額を抑えられる」といった点が注目されます。しかし、住居費全体を考えるなら購入価格だけでは判断できません。住宅ローン返済額を毎月1万円抑えられても、管理費や修繕積立金が毎月1万円高ければ、家計全体の負担は変わらないからです。
一方で、中古マンションには大きな利点もあります。過去の管理実績を確認できることです。管理費や修繕積立金を過去に値上げしたか、総会でどのような議論があったか、長期修繕計画を見直しているか、大規模修繕工事を実施したかなどを確認できます。
新築と中古の違いを考える際には、築年数だけではなく「管理状態」を見ることが重要です。
修繕積立金が安い中古マンションも、単純に「お得」とは限りません。長期間値上げを先送りしているだけかもしれず、近い将来に大幅な値上げや一時金徴収が必要になる可能性もあります。中古マンションでは、現在額よりも「なぜその金額なのか」を見る必要があります。
東京カンテイ公式動画|中古マンションのランニングコスト
中古マンションについても、東京カンテイが公式解説動画を公開しています。
住宅ローンだけを見てマンションを買ってはいけない
今回の調査は、マンション管理だけの問題ではありません。家計の問題でもあります。
マンションの住居費には、住宅ローンのほかに管理費、修繕積立金、固定資産税、都市計画税、保険料などがあります。多くの人は住宅ローンの返済額を細かく計算しますが、管理費や修繕積立金については「今払えるから大丈夫」と現在額だけで判断しがちです。
しかし、住宅ローンを完済してもマンションの維持費は終わりません。本当に見るべきなのは、「住宅ローンを払えるか」だけではなく、「将来の管理費・修繕積立金を含めて住み続けられるか」です。
特に修繕積立金は、長期修繕計画と切り離して判断できません。計画上の工事費と現在の積立額が合っているのか、定期的に見直しているのかを確認する必要があります。
まとめ|「買えるマンション」ではなく「住み続けられるマンション」を選ぶ
東京カンテイの2025年調査では、首都圏新築マンションの管理費が月額21,691円となり、前年比9.2%上昇しました。また、首都圏の築10年中古マンションでは、管理費と修繕積立金の合計が月額30,450円となっています。
こうした数字は、住宅ローン以外の住居費が無視できない水準になっていることを示しています。ただし、管理費や修繕積立金は単純に安ければよいものでもありません。
必要な管理や修繕に対して十分な金額なのか。将来の値上げを前提とした計画になっているのか。管理組合は必要な見直しを行っているのか。そこまで確認する必要があります。
マンションは、買って終わりの資産ではありません。管理し、修繕し、その費用を区分所有者全員で負担しながら住み続ける資産です。
これからのマンション選びで必要なのは、住宅ローンだけを基準にした「買えるマンション」ではなく、将来の管理費・修繕積立金まで含めた「長く住み続けられるマンション」を選ぶ視点ではないでしょうか。




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